きみへの想いを、エールにのせて

「茜、ずっとある人の応援団してるんです。その人、わけあって水泳から遠ざかっているんですけど、いつか戻りたいと思った時に水泳部がないのは困るって、水泳部作ったんです」

「泉、ちょっと！」


まさか本人にこんなこと言っちゃうなんて。
動揺して「結城君、行って」と促したけれど、彼は私を見つめて動かない。


「茜は、本気だよ」

「泉、もうやめて」


これは私が勝手にやっていることなの。
二度と結城君にプレッシャーを与えたくないの。


ただ、彼が戻りたいと思った時にすぐに戻れるように、場所を確保しておきたいだけ。


「チョコちゃん、俺……」

「ごめんね。なんでもないから、気にしないで」


嫌がる泉の手を無理矢理引っ張り、その場を離れた。