きみへの想いを、エールにのせて
「もう、なんで!」
ほとんど片付け終わった部室に戻ると、泉に怒りをぶつける。
「なんでじゃない! 茜はお人よしすぎるよ。ちゃんと結城君のためにしてるって、わかってもらわなきゃ」
「そんなこと、望んでない!」
それが、泉とした初めてのケンカ。
「もう、知らない!」
泉はそう言い残して出ていってしまった。
「泉のバカ」
泉が私のことを思ってあんなことを言ってくれたのだと、わかっている。
でも、結城君の重荷になったら、またあの時と同じ。
彼は優しいから、きっと無茶をする。
「掃除、しなくちゃ」
デッキブラシを持ち、ひとりでプールに向かうと、まだ水の入っていない大きなプールに入った。
中学のプールとは違い水深が1.8メートルもある。
やっと160センチの私はすっぽり埋まる。