きみへの想いを、エールにのせて

ゴシゴシとプールの底をこすりはじめると、じわじわ涙が溢れてきた。


全然うまくいかない。
ひとりで空回りしているのが、自分でもわかっていた。


【泉とケンカしたんだって?】


1時間ほど掃除をしていると、日が暮れかけてきた。
切り上げて部室に戻ると、理佐からラインが入っていた。


【泉の気持ち、わかってるんでしょ?】


その返事は【うん】のひと言。


泉には感謝している。
勉強を教えてもらい、水泳部の勧誘まで。

お礼を言わなくてはならないのに、ひどい言葉を投げかけてしまった。


【泉には謝っておいてあげる】

【ありがと、理佐】


泉にはきちんと謝ろう。
でもその前に頭を冷やさなくては。


その日、家に帰ると、再びスマホが震えた。

ラインの新着メッセージは、理佐だとばかり思ったのに……。
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