きみへの想いを、エールにのせて

「結城君……」


彼からこうしてラインが来るのは、あのケガ以来。


【チョコちゃん。俺、もう水泳やるつもりないんだ】


そのメッセージを見て立ち尽くした。

彼がこれほど長く泳いでいないのは、そういうことだと、本当はわかっていた。

でも、改めて言われてしまうと、胸が苦しい。


【わかってる。私はただ、水泳が好きなだけ】


本当は違う。泉の言った通りだ。
私は結城君にまた泳いでほしくて……。

そのメッセージに既読のマークがつくと、心臓がドクンと音を立てた。


【ごめん】


それからすぐに返ってきたひと言に、泣きそうになった。


【私こそ、ごめん。なにも気にしないでね】


それから彼の返事はなかった。

でも……『お前、痛いのかよ。ここ、痛いのかよ!』と真夜さんに言い放った彼が、水泳を忘れていないと信じたい。
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