きみへの想いを、エールにのせて

次の日の朝は、ビラ配りをやめ、校門で泉を待った。


「泉」


彼女の姿が見えると、駆け寄り、深く頭を下げる。


「あの、昨日はごめん」

「ううん。私も言い過ぎた」

「えっ……」


もう口もきいてもらえないかもしれないと思っていたのに。


「でも、茜が不憫だよ」


泉は私を真っ直ぐに見つめる。

彼女の視線から逃れる様にうつむくと、「そんな茜が嫌いじゃないけど」という彼女の声が耳に届いて、ハッとする。


「ホントバカみたいに真っ直ぐなんだから。私がいないと、ダメでしょ、茜は」

「……うん」


泉はまるで姉のように、私の頭を何度も撫でる。


「ほら、行くよ。宿題やった?」

「うん」


持つべきものは友達だ。
私はあまりにうれしくて、泣きながら笑った。
< 150 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop