きみへの想いを、エールにのせて
次の日の朝は、ビラ配りをやめ、校門で泉を待った。
「泉」
彼女の姿が見えると、駆け寄り、深く頭を下げる。
「あの、昨日はごめん」
「ううん。私も言い過ぎた」
「えっ……」
もう口もきいてもらえないかもしれないと思っていたのに。
「でも、茜が不憫だよ」
泉は私を真っ直ぐに見つめる。
彼女の視線から逃れる様にうつむくと、「そんな茜が嫌いじゃないけど」という彼女の声が耳に届いて、ハッとする。
「ホントバカみたいに真っ直ぐなんだから。私がいないと、ダメでしょ、茜は」
「……うん」
泉はまるで姉のように、私の頭を何度も撫でる。
「ほら、行くよ。宿題やった?」
「うん」
持つべきものは友達だ。
私はあまりにうれしくて、泣きながら笑った。