きみへの想いを、エールにのせて

「でも、茜だって理佐の高校だったら上位だよ?」

「それを言われると、なんとも」


泉に指摘された理佐は、気まずそうな顔をしているけれど、彼女も頑張っている。


「でもさ、手当たり次第ビラ配っても、難しいよね」


理佐が腕組みをしながらそうつぶやいた。

もともと部活なんてやっていられないという学校だし、水泳をやったことがない人が、今から始めるとは思えない。

まして、入部即リレー要員なのだから。


「雄介に探させるか」

「雄介君?」


理佐は私に大きくうなずいてみせる。


「そ、南に水泳やってた人、もしくは今でもやってる人知らないかって」


理佐はそう言いながら、もうラインを打ち始めた。


「いつも雄介君に頼んでばかりだし」


最初からずっと雄介君には迷惑をかけっぱなしだ。


「いいの、いいの。雄介、役に立つのうれしそうだよ?」


本当にいいのかな……。
< 152 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop