きみへの想いを、エールにのせて
ひと学年10クラスもあるのだから、知らない人の方が多い。
仕方なく一応顧問の奥寺先生のところに聞きにいくと、名簿を見せてくれた。
奥寺先生は1年生を担当していないから、知らないらしい。
「いた」
「その香川ってヤツが速いのか?」
「はい。競泳やってたみたいなんです」
1年8組のその名前を見つけたときはうれしかった。
「でもまだ部員0か?」
「いえ、1です」
「入ったのか?」
「はい、私が」
「あはは」と豪快に吹き出した先生は、「そうだよな、活動しないといけないもんな」とプールのある方を見つめた。
時々泉に手伝ってもらったプール掃除は、毎日コツコツとやっていたらなんとか終わり、そろそろ水を入れる。
その塩素の管理まで任されてしまった。