きみへの想いを、エールにのせて

先生、絶対自分の仕事押しつけてると思ったけれど、顧問がいなくては活動を認められないから仕方ない。


「それで金づちが泳ぐのか?」


『金づち』じゃなくて榎本なんですけど!と心の中で思いながら首を縦に振った。

活動していないと即廃部。
それなら金づちだろうが泳ぐしかない。


「はい」

「溺れるなよ」

「わかってます」


とはいえ、足がつかないプールで泳ぐのは初めて。
ビート板のお世話になろうと思いつつ、8組に向かった。


「どの人だろう……」


8組に知り合いはいない。
廊下から教室を覗いていると……。


「誰、見に来たの?」

「は?」


結城君と同じくらいの背の高い男の子が、突然うしろから話しかけてきた。

ちょっとくせ毛な髪がいい感じで馴染んでいて、細面で切れ長の目。
いわゆる“かっこいい”部類の人。
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