きみへの想いを、エールにのせて
「誰か好きなヤツがいるんだろ?」
「ち、違います」
たしかに、そういう女子もいるけど……。
「あの、香川君いますか?」
「はぁ? なんの用?」
突然不機嫌全開になったその人は、「チッ」と舌打ちまでしてみせる。
イケメンだと思ったのに、性格悪そう。
なんでそんな態度取られなきゃいけないのよ……。
他の人に聞こうかと思ったその時、「俺だけど?」と言われて固まった。
この感じの悪い人が、香川君?
「で、なに?」
「あっ、あの……」
結城君とまったく違うタイプだと思いながらも、彼は水泳部に必要な人材。
「私、水泳部作って、部員募集してるんです。香川君が水泳やってたと聞いたので……」
「あぁ、あのビラの」
ビラを見てくれたんだ。
それなら話が早い!と思ったのに……。