きみへの想いを、エールにのせて

「悪いけど、俺辞めたんだ」

「知ってます。でも、もう一度泳ぎませんか?」

「それじゃあな」

「あっ、待って……」


目の前でピシャリと閉められたドア。
完全拒否。


でもあきらめるつもりはない。
とりあえずその日は、退散した。


「榎本、入れるぞ」

「ですよね」


数日後。
奥寺先生が私にわざわざ言いに来たのは、プールの水を入れるという知らせ。

今日だと聞いていたものの、なにかのトラブルで延期にならないだろうかと祈っていたのにダメだった。


「はぁ」


これで活動しなければならなくなった。
今までは掃除だとか筋トレとか言って、簡単に柔軟体操をして終わっていたのに、水に入らなくてはならない。


「冷たーい」


まだ6月末。
天気はどんよりと曇っていて雨が降りそう。
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