きみへの想いを、エールにのせて
仕方がない。
25メートルなんとかしなくちゃ。
つった足では、泳ぐなんてとても無理。
プールサイドにつかまりながら手で進むしかない。
幸い浮力があるから、手の力だけでも進むことはできた。
でも……。
どんどん体が冷えてくる。
それなのに頭がぼーっとして……。
「誰か……」
誰か助けて。
やっとのことでプールの半分までたどり着いたけれど、この倍行かなくてはならないと思うと気が遠のきそうだった。
寒い。たまらなく、寒い。
「チョコちゃん!」
そのとき、結城君の声が聞こえた気がした。
でも彼がプールにいるわけがない。
とうとう幻聴まで聞こえたの?と思ったとき……プールサイドをつかんでいた手が握られた。
「どうした?」
「結城君……」
結城君の顔を見たら、途端に涙が溢れてきた。