きみへの想いを、エールにのせて

「足が……」

「つったのか?」


小さくうなずくと、彼は私の手を引っ張り……。


「結城君、濡れちゃう」

「そんなこと気にしてる場合かよ!」


上半身が上がったところで、自分が濡れるのも気にせず抱きかかえるようにして、プールサイドにあげてくれた。


「どうして……」


来てくれたの?


「チョコちゃん、唇が真っ青。歩けるか?」


結城君は私を立たせようとしてくれたけれど、やっぱり足が痛くて顔をしかめる。


「乗って」

「え?」


すると彼は背を向ける。
負ぶってくれるの?


「できないよ。結城君の腰が悪くなっちゃう」

「今はチョコちゃんの方が優先だ。それに、ちゃんとリハビリもしてるから、大丈夫」


それでも首を振る私を彼は無理矢理背負い、立ち上がった。
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