きみへの想いを、エールにのせて

「ほら、これも」


彼は額を冷やすシートまで買ってきてくれた。

スーッとするシートを貼ってもらうと、熱が下がっていく気すらする。


「結城君、シャツ濡れてない?」

「そんなこと、病人が心配するな。もう乾いたよ」


彼はそう言いながら、布団を掛けてくれた。


「なぁ、部員、集まったのか?」


その質問に首を振ると「そっか」と落胆した表情をみせる。


「顧問は体育科の奥寺先生が引き受けてくれたの。でも、夏休みが終わるまでに、リレーができる4人揃えられないと存続できないかもしれない」

「4人か……」


結城君は「はーっ」と溜息をついた。

これだけビラ配りをして誰も引っかからないというのは、この先も難しいということ。

せっかく結城君がやる気になったかもしれないのに。
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