きみへの想いを、エールにのせて
ドクンと心臓が跳ねる。
その『好き』が私にではなく、水泳に向けられていることがわかっていても。
「競泳は採点競技じゃない。その時の一発勝負。その緊張感が、プレッシャーでもあるけど、一度味わうとやみつきになる」
きっとその緊張に勝てる人だけが、上にあがっていけるのだろう。
「リレーはまた格別。皆ベストが出るんだよ。仲間と一緒だと、底力が出るんだろうな」
結城君は視線を宙に舞わせ、優しい笑みを見せる。
きっと、心から水泳が好きなんだ。
「もう、無理はするな。これからは、俺が泳ぐから」
「ホントに?」
「チョコちゃんの期待には沿えないかもしれない。でも、やっぱり好きだから、水と戯れていたい」
「期待、なんて……。結城君が泳いでるのかうれしくて」