きみへの想いを、エールにのせて

結局、2日学校を休んでしまった。


復帰明けの放課後、部室に走った。
まだカギは結城君が持っているから入れないけれど、どうしても言いたい。

10分ほど部室の前で待っていると、足音がして……。


「チョコちゃん。治ったんだね」

「うん。ありがとう」


結城君がやってきて、すごくうれしそうな顔をした。
そして……。


「こちら、南高校水泳部です。入部、ありがとうございます!」


ありがとう。
私が勝手に作った場所に来てくれて。

そう言いながら頭を下げると、彼は私に歩み寄ってきた。


「入れてくれて、ありがとう。待っててくれて……ありがとう」


彼はそう言いながら私に手を差し出した。


「うん」


そして私は、その手を握り返す。

ここで、いちから始まる。
ううん、ゼロからのスタートかもしれない。

きっとこんなに長い間泳いでいないのは初めてだろう。
< 182 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop