きみへの想いを、エールにのせて
結局、2日学校を休んでしまった。
復帰明けの放課後、部室に走った。
まだカギは結城君が持っているから入れないけれど、どうしても言いたい。
10分ほど部室の前で待っていると、足音がして……。
「チョコちゃん。治ったんだね」
「うん。ありがとう」
結城君がやってきて、すごくうれしそうな顔をした。
そして……。
「こちら、南高校水泳部です。入部、ありがとうございます!」
ありがとう。
私が勝手に作った場所に来てくれて。
そう言いながら頭を下げると、彼は私に歩み寄ってきた。
「入れてくれて、ありがとう。待っててくれて……ありがとう」
彼はそう言いながら私に手を差し出した。
「うん」
そして私は、その手を握り返す。
ここで、いちから始まる。
ううん、ゼロからのスタートかもしれない。
きっとこんなに長い間泳いでいないのは初めてだろう。