きみへの想いを、エールにのせて

一応水着を持ってきたものの、彼は「マネージャーよろしく」と私にストップウォッチを持たせた。


「わかった」


水着姿の結城君は、練習を休んでいたにも関わらず、少しも体型が変わっていないように見えた。

本人は「少し太った」なんて言っていたけれど、きちんと筋トレをしていたおかげか、筋肉は衰えていない。
体重の増加分なんて、泳げばすぐに取り戻せそうだ。


幸い今日はいい天気。

私たちの門出を祝ってくれているかのように太陽の光が降り注いている。


――ザブン。

すぐにアップが始まった。

背中にはまたテーピングが施してある。
無理は厳禁。

でも、一度失敗をしている彼は、焦らず慎重に泳ぎ始めた。


私はといえば、彼が書いてきてくれたメニューを見て、サイクル通りに「用意、はい」と言うだけ。
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