きみへの想いを、エールにのせて
でも、こんなに間近で結城君の泳ぐ姿が見られ、同じ目標を見ていられることがうれしくてたまらない。
クロールを泳ぐときの手の適切な入水位置。
少しもブレない中心軸。
少ないストロークで25メートルを泳いでしまう力強さ。
これでクロールを専門としていないなんて信じられない。
彼の姿にずっと見惚れていた。
自分も泳いでみて、練習がどれだけ過酷なのか思い知った私は、尊敬のまなざしで彼を見つめていた。
今日はトータル4500メートルのメニュー。
これで肩慣らしなのだから驚きだ。
多くても1日100メートルしか泳いでいなかった私には未知の世界。
「はっ」
400メートルずつの練習は、かなりきつそう。
彼はひとつメニューをこなす度、肩で息をしている。