きみへの想いを、エールにのせて
「あっ……」
「どうした?」
突然声をあげたから、結城君が驚いている。
「あの、今更だけど、結城君は……受験……」
水泳のことしか頭になかった。
もしかしたら結城君も難関大学を目指していて、勉強していたのかも。
「あはは。チョコちゃんって面白い」
あれ、笑われた?
「そんなの今更。水泳をまた始めるからには、大学から水泳で声をかけてもらえるところまでいくつもりだから」
頭を殴られた気がした。
私のうわついた意識とは違う。
結城君の見ている世界は、私とはまるで違う。
「でも勉強もしないとな。チョコちゃん、フォローよろしく」
「私が!?」
だって、結城君の方が絶対に賢いよ?
「そ、私」
結城君は私を指差してクスクス笑った。
水泳を休んでいる間、なかなか笑顔を見られなかった彼だけど、今は素敵な笑顔を見せてくれる。
彼にとって水泳の存在がどれだけ大きい物なのか、わかった気がした。