きみへの想いを、エールにのせて
「他の3人もエントリーして」
「うん」
「必ずリレーでも全国に行く」
中学で、雄介君達と全国に行けなかった後悔が、彼を奮い立たせているのかもしれない。
「ここまで来られたのは、チョコちゃんのおかげ」
彼は時々『チョコちゃん』と呼ぶ。
そのたびに鼓動が速まって、制御できない。
「そんなことない。結城君が頑張ってるから」
水泳部を立ち上げたのは私だけど、彼が必死に練習を積んでいるから、試合が見えてきたのだ。
「ううん。俺、あのままだったらきっと辞めてた」
私に水泳を辞めると口にしたときの彼の苦い顔が、鮮明に頭に浮かぶ。
「それに自分のためだけだったら、ここまで泳げてない」
「えっ?」
「誰かのために、泳ぎたいと思ったんだ」
それって……自惚れても、いいの?
胸が苦しい。
私はとんでもない間違いをしてしまったのかもしれない。
でも、水泳部がなくなったら、リレーでインターハイに行くという夢は絶たれてしまう。