きみへの想いを、エールにのせて
第4章
リレーの醍醐味
それからも私は、ごく普通に振る舞った。
卓君には、結城君と試合で一緒になったことはもちろん秘密。
結城君も余計なことは話さなかった。
「試合のエントリーが決まった」
自然と部長のような役割をしている結城君は、奥寺先生と相談して、試合に出ることが決定した。
「俺は1500。香川は、1バタと2バタでいいな?」
1バタというのは100メートルバタフライのこと。2は200メートル。
「いいけど」
「脇田は1ブレ、小栗は1フリ」
それぞれ、平泳ぎとクロールの100メートル。
ふたりはまだ200メートルを試合で泳ぎ切るだけの体力がないと判断された。
「それと、リレー」
「は?」
卓君があからさまにイヤな顔をして声をあげる。