きみへの想いを、エールにのせて
「メドレーリレーはバックの選手がいないから、今回は見送る。フリーリレーで出たい」
「正気か? 単純に4人のタイムを合計しても、予選落ち確実だ」
卓君は結城君を責めるようにそう言った。
脇田君はクロールは速くはないし、小栗君もまだまだだ。
すると、結城君と香川君でカバーしなくてはならないけれど、結城君はキックを強くは打てない。
「わかってる。でも、出場して自分たちの記録を知っておくもの必要だと思う」
全国に行けるか行けないか、のレベルで争ってきた結城君が、下位大会で予選落ちなんて、うれしいはずがない。
それでも、南高校の水泳部としての第一歩を踏み出そうとしていることに、意味がある。
「これは、相談ではなく決定だ。リレーに出ると、世界が変わる。必ず、変わる」