きみへの想いを、エールにのせて

「メドレーリレーはバックの選手がいないから、今回は見送る。フリーリレーで出たい」

「正気か? 単純に4人のタイムを合計しても、予選落ち確実だ」


卓君は結城君を責めるようにそう言った。


脇田君はクロールは速くはないし、小栗君もまだまだだ。
すると、結城君と香川君でカバーしなくてはならないけれど、結城君はキックを強くは打てない。


「わかってる。でも、出場して自分たちの記録を知っておくもの必要だと思う」


全国に行けるか行けないか、のレベルで争ってきた結城君が、下位大会で予選落ちなんて、うれしいはずがない。

それでも、南高校の水泳部としての第一歩を踏み出そうとしていることに、意味がある。


「これは、相談ではなく決定だ。リレーに出ると、世界が変わる。必ず、変わる」
< 248 / 374 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop