きみへの想いを、エールにのせて
そして、再び歩き出した彼は真夜さんに近づき……。
「久しぶりだな」
「……うん」
やっぱり知り合いなんだ。
真夜さんは私をチラッと見つめ、不思議そうな顔をする。
隣にいるのが結城君でないことに、戸惑いがあるのかもしれない。
でも、きっと結城君を好きな彼女には好都合なはず。
「結城か?」
卓君がそう尋ねると、心臓がドクンと音を立てた。
真夜さんに対して怒りをぶつけていた結城君は、あれから彼女と仲直りをしたのだろうか。
そして彼女は、なぜか目をそらして小さくうなずいた。
「もう来るんじゃねぇ? それじゃ」
真夜さんと話す間、卓君は私の手を強く握りしめていた。
それがなにを意味するのか私にはわからなかったけれど、校門を出てもひと言も話さない彼の心に波風が立っている気がした。