きみへの想いを、エールにのせて
だけど、私からあれこれ聞くのもためらわれた。
よい思い出ではない気がした。
「なぁ」
「ん?」
学校から随分離れたところで、彼はやっと口を開いた。
「茜は、ずっとそばにいてくれるか?」
「えっ?」
私の顔を見ることなくボソリとつぶやいた彼の横顔が、寂しそうに見えた。
「なんてな。強引に女にしといて、そんなわけないか」
どうしたというの?
時々卓君のことがわからなくなる。
ただの意地悪な男の子ではない顔がチラチラと見えるから。
「茜、宿題進んでるのか?」
「ううん、ほんの少しだけしかできてない。補習の課題しているだけで終わっちゃう」
毎日のようにある補習は、次の日までの課題も出る。
それをやっているうちに時間がなくなる。