きみへの想いを、エールにのせて
でもこんなに大きな家にふたりきりなんて、寂しそうだと思ってしまうのは、庶民の感覚なのだろうか。
すぐにクーラーをつけてくれた彼は、1階に下りていき麦茶を持ってきてくれた。
「あの、さ。ご飯とかどうしてるの?」
「そんなものいくらでも売ってるし」
「そっ、か……」
彼はグラスにお茶を注ぎながら淡々と答えるけれど、少しだけ眉をひそめた。
「ありがと」
「それじゃ、始めるか」
テーブルに数学を並べ質問を始めると、彼はケラケラ笑った。
こんな姿、初めて見た。
「茜って、数学苦手なんだな」
「笑わないでよ。これでも一生懸命なんだから」
たしかに、数学はいつも赤点すれすれ。
努力しているつもりだけど、なかなか成績も上がらない。