きみへの想いを、エールにのせて

どうしたらわかってもらえるのだろう。

でも彼は、あたり前の言葉が届かないほど傷ついているように見えた。



「それなら証明してみせろよ」

「えっ?」

「俺が女にしてやる」


彼はそう口にすると、制服のリボンに手をかけた。


「やめて!」

「茜は俺の彼女だろ? 結城になんて渡さない」


もしかして真夜さんは、卓君から結城君に心変わりしたのかも。


「お願い」


彼の手を必死につかみ抵抗したけれど、私の力なんかでは敵うはずもない。


「私が卓君に抱かれれば、あなたは自分の価値に気づくの?」


人の価値は数字で表されるものばかりではない。

きっと真夜さんだって、卓君のタイムが結城君より劣るから離れた訳ではないはずだ。


「茜になにがわかるんだ。俺の人生、ずっとそんなことの繰り返しなんだ!」
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