きみへの想いを、エールにのせて

彼の心が泣いている。
私は、どうしたらいい?


それから、全身の力を抜いた。
彼を救う方法を他に思いつかない。

すると……。


「なんでだ。なんで抵抗しない!」


彼は激しい憤りを見せながら、床をドンと叩く。


「あんな始まり方をして、あなたを好きになるわけなんてない。でもね、やっぱり必死に練習に励んでいる卓君は輝いているし、素敵だよ」


溢れる気持ちをすべて言葉にできなくてもどかしい。


「結城君に勝てないから価値がないなんて思ったこと一度もない。結果がすべてじゃないよ?」


彼が『一生懸命でも、結果がついてこないこともあるもんな』と言った時の苦しげな顔が頭をよぎる。

生まれ持った身体能力の差もある。
同じだけ練習してもタイムが伸びないこともある。
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