きみへの想いを、エールにのせて
感動のハイタッチ
プールに入れない冬の間は、時折筋トレをしている結城君の姿を見かけた。
顔をゆがめながらもスクワットを繰り返す彼は、毎日毎日限界に挑戦しているように見えた。
だけど、その後はすぐにスイミングクラブに行ってしまう。
見に行くことなんてできなくて、彼が次に出そうな試合を探していた。
「これ、出るかな……」
新年早々、全国ランキングの出る試合を見つけた。
それは、誰でも出られる試合ではなく、年齢ごとに決められたタイムをクリアした人だけに出場資格が与えられる。
全国で決勝に残る結城君にとってはなんでもない制限タイムだけど、比較的レベルの高そうな試合だった。
しかも、会場のプールは、夏の全中の県予選をしたあのプール。
あそこなら見に行ける。
結城君が出場するかどうかわからないのに、水泳の試合に行くと決めただけで、気持ちが高揚して元気になった。