きみへの想いを、エールにのせて
「茜、ごめんな」
彼は家まで送ってくれた。
「ううん。送ってくれてありがとう」
「おぉ」
「今度は英語も教えてよ」
「マジか……」
彼がやっと笑った。
「マジです。じゃあね」
玄関に駆け込んでドアを閉めると、複雑な気持ちが私を覆う。
卓君のこと、嫌いだけじゃなくなってしまった。
でも、私が好きなのは……。
それに、真夜さんがなにをしに来たのかも引っかかっている。
もしかして結城君と付き合い始めたの?
そんなことを考えると、不安でいっぱいになって泣きそうだった。
でも、卓君と付き合っている私には、どうこう言う資格なんてない。
「とりあえず、試合」
この先どうなるのかまったくわからなかったけれど、目の前に迫った試合のことだけに集中しよう。
この日のために、頑張ってきたのだから。
私は気合を入れ直した。