きみへの想いを、エールにのせて
「私はパス」
「私も」
ひとりで行くのは寂しいと、泉や理佐を誘ってみたけれど、きっぱり断られてしまった。
金づちに近い私も、たまたま試合を見て結城君のファンになる前は、水泳にまったく興味もなかったのだから仕方ない。
「ひとりでも行くの? 結城君、出るかどうかわかんないんでしょ?」
泉がかなり呆れていたけど……。
「放っといてあげなよ。好きって伝えず、陰から応援するなんて純愛じゃん」
理佐は私を庇ってくれているようで、アタックしない私をもどかしいと思っているらしい。
「行ってくるよ。結城君がもしいなくても、すごい興奮なんだから」
結城君が出るとすれば、100、200メートルのバタフライ。
トータルで3分ちょっと。
でも、他にもたくさんドラマはある。
コンマ数秒で決勝進出が決まったり、予選落ちが決まることもあれば、同着スイムオフなんてことも時々。