きみへの想いを、エールにのせて

それくらい結城君の泳ぎに魅了されていた。


「結城君……」


練習は裏切らないと信じたい。

それでも、腰に爆弾を抱えている今、なにが起こるかわからない。

前回のレースの悪夢が頭をよぎって手に汗握る。

タイムも大切かもしれない。
でも今日は、完泳できなかった前回のリベンジでもある。とにかく1500メートル泳ぎ切ってほしい。


「お願い」


前回棄権した距離が近づいてくると、胸の前で手を組んでひたすら祈った。


そして、それもなんとかクリア。
結城君の泳げない時期を知っている私は、もうそれだけで目頭が熱くなり始めてしまった。


それからも淡々とタイムを刻んでいくけれど、ペースはさほど落ちる様子もない。

そしていよいよあと100メートル。
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