きみへの想いを、エールにのせて

そんなことを考えていると、また泣きそうになってぐっとこらえた。
でも……。


「榎本さん、目が……」

「こいつ、バカみたいにビービー泣くから」


きっと真っ赤なのだろう。
隣の卓君が再びタオルをかけてくれるから、泣き顔を結城君に見られずに済んだ。


「ありがとう。榎本さんのおかけで、またここに戻ってこられた」


最近、涙腺が弱くて困る。
まともに声すら出せなくて、何度も首を横に振った。

私はただきっかけを作っただけ。
ストイックに自分の限界に挑戦し続けてきた4人がすごい。

私はこうやって感動をもらえて幸せ。


「次はリレーだ。目標はA級の試合の標準記録」


結城君はきっぱりそう言ったけれど、誰もが届かないと思っているだろう。

そのタイムにはまだ10秒以上ある。
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