きみへの想いを、エールにのせて

それはリレー独特の雰囲気と、仲間の力強い応援の結果だろう。

第一泳者は脇田君。
そして小栗君、卓君、結城君の順。

ひとり100メートルずつ泳ぎ、後半に追い上げる作戦だ。


――用意、ピッ。


レースが始まると、周りの観客も大きな声援をあげ始める。

だけど私は声も出せないほど緊張していた。
もしかしたらあの4人よりも、緊張しているかもしれないと思うほどで、体が小刻みに震えてしまう。


クロールが得意でない脇田君は、少し出遅れてしまった。
それでも巻き返すチャンスはいくらでもある。

そして、小栗君。

リレーは引継ぎ違反が厳しくチェックされる。
フライングが多いからだ。

それも気がはやる選手の気持ちが痛いほどわかる。


少し飛び込むのが遅いようにも感じたけれど、失格になるよりはいい。

初めてのリレーだから慎重になるのもうなずけた。
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