きみへの想いを、エールにのせて
クロールを専門としている小栗君は、前半型。
最初の50メートルで、ひとりかわした。
「すごい」
ラップタイムも個人の時より速い。
リレーは飛び込み動作を早くからできるため、個人の時よりタイムが速くなることが多い。
とはいえ、なかなかいいペースだった。
彼の課題は後半だけど、あまり落ちることなく泳ぎ切る。
これぞ、リレーのパワーなのかもしれない。
そして……卓君が飛び込んだ。
リレーの経験があるだけあり、飛び込みのタイミングも完璧。
バタフライと同じようにダイナミックなクロールは、私の視線を捉えて離さない。
「ああっ!」
思わず声が出てしまったのは、最初の25メートルくらいでうしろを泳いでいた選手に並ばれそうになったから。
でも、それからが違った。