きみへの想いを、エールにのせて

採点競技の種目ではないから、タイムがすべて。

その一瞬にかける選手たちの熱い思いが伝わってくるような気がして、見ているだけで泣きそうになることもある。


「はいはい。寒いんだから、風邪ひかないようにね」


泉は呆れながらも応援してくれた。


試合のある1月4日は、朝から雪がチラホラ空に舞うほど寒かった。
でも、できるだけいい位置で観戦したいと、9時開場の玄関に7時半には並んだ。

とはいえ、どこもかしこも選手の家族と思われる人や、おそろいのジャージを着たスイミングの関係者ばかり。
私のようにただ水泳を見たいという人はこの中にどれくらいいるのだろう。


「あっ……」


人ごみの中に、結城君が所属するスイミングクラブのジャージを発見した。
ホームページを見て、こうしたこともリサーチ済み。
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