きみへの想いを、エールにのせて

ギアチェンジしたかのようにどんどんスピードを上げていく彼は、後続を引き離すどころか、ひとりかわして6位に上がった。


「卓君!」


きっと聞こえない。
でも叫ばずにはいられない。

ここまでは予想を上回るタイムできている。


ドキドキしながら見ていると、卓君はそのまま6位でゴールし、結城君が飛び込んだ。


彼の飛び込みの上手さは際立っている。
きっとこれも何度も練習を積んだのだろう。

浮き上がってきたところで、5位のチームと並びかけた。


「頑張れ!」


1500メートルの時の2ビートは違い、1ストローク6ビート。

つまり両手をかく間に6回キックを打つ。


バシャバシャと波立つ水面。
手を回すタイミングも1500メートルの時よりずっと早い。
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