きみへの想いを、エールにのせて
同じ泳ぎ方でも、長距離と短距離のピッチはまるで違うと言っていた。
それがまさに目の前で見られている。
「すごい」
結城君はあっという間に5位の選手を抜き、4位に迫った。
ターンをしたところで、4位とは頭ひとつ分の差。
このままいけば抜ける!と思ったものの、4位の選手もラストスパート。
「いけー」
あまり差が詰まらないままあと5メートル。
そして、それからまたひと伸びした結城君は、ほぼ同時にタッチした。
興奮しすぎて息もうまく吸えないまま電光掲示板を見つめる。
「あぁっ」
そこに表示されたのは、5の文字。
100分の2秒差で追いつかなかった。
それでも、そこに表示されたタイムは、目標タイムプラス6秒。
つまり4人で4秒縮めたことになる。