きみへの想いを、エールにのせて

「おめでとー」


『おめでとう』という言葉がふさわしいかどうかはわからない。
でも、心からの言葉だった。


すると……。
4人は互いの健闘をたたえ合ってか、結城君がプールから上がると同時にハイタッチ。

結城君に反抗的だったあの卓君までも。

リレーは確実に4人を変えた。
結城君の言う通りだった。


また涙が溢れてくる。
こんなに泣いたのは久しぶり。

4人はプールに向かって頭を下げた。
そして、出ていくのと思いきや……。


「嘘……」


なんと私の方に向いて横一列に並んだのだ。

そして、同じタイミングで一礼し、顔を上げるのと同時に大きく手を振ってくれる。


「ありがとう……」


未だクロールですら泳げるかどうか怪しいようなマネージャーだけど、私も水泳部の一員だと教えてもらえた気がした。
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