きみへの想いを、エールにのせて
両手で手を振り返すと、今度こそ引き上げていく。
だけど、一番後ろを歩いていた結城君が再び振り向き、一瞬私を見た気がした。
皆が戻ってくるまでに泣き止まなくては。
タオルでごしごし涙を拭き、ラップタイムを書いていく。
「えっ……」
すると驚いたことに、ほんの少し卓君のタイムが結城君のタイムを上回っていた。
「すごい」
驚異的な伸びだ。
これがリレーの力。
「おかえりなさい!」
なんとか泣き止んだものの……。
「茜、目が真っ赤」
卓君にすぐ指摘され、恥ずかしくてうつむいた。
「皆、ありがとう」
イヤだ。また泣けてきてしまう。
「茜、ラップ見せてくれ」
「はい」
卓君に差し出したノートを4人で覗き込んでいる。
「香川、やるじゃないか」
すると結城君が声をあげた。