きみへの想いを、エールにのせて
温水プールを持たない南高校は、これからは各々の練習になる。
それぞれ、スイミングクラブに復帰していて、そこでの練習だけになる。
「それじゃあ、気をつけて帰れよ」
「ありがとうございました」
奥寺先生は上機嫌だった。
4人そろって会場を出ようとすると、結城君が卓君を引きとめた。
どうしたんだろうと見ていると……。
「香川。力を貸してくれてありがとう。お前のおかげで、リレーの楽しさをもう一度味わえた」
結城君は、卓君が私に出した水泳部入部の条件を知らない。
だから、私の勧誘に乗ってくれたと信じている。
「礼なら茜に言え」
「そうだな。榎本さん、水泳部を作ってくれてありがとう」
「私はなにも……」
私は結城君がもう一度泳ぐ姿が見たかっただけ。