きみへの想いを、エールにのせて
事実の発覚
夏休みが終わり2学期が始まると、卓君と毎日のように一緒に帰った。
一時は結城君の前では手をつながなかったのに、またつなぐようになった。
まるで私たちの交際を見せつけるかのように。
「茜。帰り、俺ん家寄れよ」
「でも明日のテストの勉強しなくちゃ」
そんなこと、結城君の前で言わないでほしい。
「だから、教えてやるって言ってるの」
「ありがとう。でも今日は帰る」
卓君の家に行くのはまだ怖い。
押し倒されたときの光景が頭をよぎる。
またあんなことがあって拒否したりしたら、冷たくてトゲトゲの卓君に戻ってしまうような気がした。
結城君は私たちのやり取りを聞いていても、顔色ひとつ変えない。
所詮、片思い。
もしかしたら結城君も私のことを……と期待した時期もあったけれど、真夜さんと付き合っているのかもしれない。