きみへの想いを、エールにのせて

卓君との交際を続けていると、どんどん苦しくなる。

自分に嘘をつき続けることがこんなにストレスだとは思わなかった。


時々ミーティングや筋トレはあったものの、奥寺先生は泳げない時期はスイミングクラブの練習を優先してもいいと理解を示してくれて、放課後に結城君に会える機会が激減していた。

その一方で、卓君の“彼女”である私は、彼の練習に付き添うことが多くなった。


「なぁ、茜」

「ん?」


ふたりでスイミングクラブに行くことももう慣れた。
チームの人たちも、私が卓君の彼女だと知って、よくしてくれる。


「俺、本気で全国目指してみようと思う」

「ホントに?」


卓君の決意に胸が震える。


「これからは、お前のために泳ぐ」

「えっ?」

「茜をインターハイに連れていく」
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