きみへの想いを、エールにのせて

でも、結城君は見つけられない。


「来ないのか……」


大きな溜息を吐くと息が白い。
髪にうっすらと積もった雪を払うと、落胆で帰りたくなった。

他の人たちの戦いも魅力的だけど、やっぱり結城君が見たかった。
でも……。


「いた」


そのチームの団体の少しうしろから、結城君が歩いてくるのが見える。


「よかった。出るんだ」


理佐や泉に報告しようとスマホを出してラインを開いたところで、指が止まってしまった。

結城君の隣に同じくらいの歳の女の子。
彼女は自分がつけていたイヤホンの片方を結城君の耳に入れたのだ。

そして、それを当たり前のように受け入れている結城君を見て、胸が締めつけられるように苦しくなった。


理佐のリサーチでは彼女はいないはずだけど……学校にいないだけで、もしかしたら競泳仲間に?
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