きみへの想いを、エールにのせて
一瞬、言葉を失った。
『本気でお前のことが好きになった』と苦しげに吐き出した彼。
あれはやっぱり本音なの?
「……うん」
それしか言えなかった。
どうしても頭に浮かぶのは結城君の顔。
でも私の彼は……。
もう、後戻りできない。
結城君の夢が叶うのならと、卓君との交際を承諾した。
でも、卓君の感情が動いてしまった今、簡単に別れて欲しいなんて言えない。
「今日の練習もきつそうだな」
卓君はそんなことを言いながら、私の手を強く握った。
まるで逃がさないと言わんばかりに。
「そうだね。頑張って」
懸命に口角をあげてみたけれど、私の複雑な胸の内がバレているかもしれない。
彼は一瞬眉をひそめた。