きみへの想いを、エールにのせて

泣きそうだった。
一度は挫折した彼が、再び夢を追いかけだした。

ずっと結城君の夢を叶えたいと思ってきたけど、それは私自身の夢でもあることに、今、気がついた。


「ありがとう。応援してる」


それしか言えない。

私にできることはもうなにもない。
でも、ずっと一番の応援団でいたい。


「茜、早いな」


それからすぐに卓君がやって来た。

私と結城君が話しているところを見てあからさまにイヤな顔をした彼は、なにも言わず私の手を引き、自分の隣に座らせた。

その挑発的な行為に、結城君が乗ってくることはない。
結城君は視線を逸らし、練習ノートを広げた。


試合で、ひとつになりかけた水泳部。
それなのに、卓君の行動でぎくしゃくしてしまう。

それでも少しずつ前進している。

そう思いたかった。
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