きみへの想いを、エールにのせて
水泳選手によく見られる“逆三角形”の体格の持ち主の彼は、肩幅ががっしりとしていて、上腕の筋肉は盛り上がっている。
大胸筋はもちろんのこと、圧巻なのは腹筋。
シックスパックと言われるように、お腹が六つに割れていて、無駄な贅肉などどこにもなかった。
体の線は細いのに、見た目より体重は重いらしい。
それもこれも、体脂肪が少なく、筋肉質なせいだ。
「もう告白しちゃえば?」
「ううん。先にやることがあるから」
結城君のことを意識し始めたのは、中二の時。
たまたま水泳の大きな大会が近くの市民プールで行われて、見にいったことがきっかけだった。
最初は同じ中学だからなんとなく見ていただけなのに、あっという間に目を奪われた。
結城君は、バタフライの選手。
ほとんど金づちの私にとってバタフライを泳げるというだけで尊敬の対象なのに、彼はその大会で見事に優勝してみせたのだ。
水面を滑るように進む大きなストロークは、他を寄せ付けない美しさ。
特徴のある体のうねりは実にスムーズで、キツイ種目なのに、まったく苦しげには見えなかった。