きみへの想いを、エールにのせて

どうして誰も卓君の努力に気がつかないの?


「卓君は、結城君と同じくらい頑張ってます。あんな態度を取るから誤解されやすいけど、彼だって練習の手を抜いていたわけじゃない」


過去の卓君を知らない私が、こんなことを言うのはおかしいかもしれない。
でも絶対に彼は手を抜いたりしない。


「卓君は、真夜さんが思っているよりずっと立派な選手です」


結城君より表彰台から遠いかもしれない。
でもだからといって、練習が適当なわけじゃない。


「ふーん。じゃあいいじゃない。あなたが支えてあげれば?」


握りしめたこぶしが震える。

卓君はきっと真夜さんのことが本気で好きだったのに。


私はそれ以上なにも言わず、クラブを出た。

涙がこぼれそうになって慌てて空を見上げたけれど、煌めく星がぼやけてしまう。
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