きみへの想いを、エールにのせて
もうこれ以上傷つけられない。どうしても。
彼に体を預け返事をすると……。
「茜」
私を離した彼は、私の名前を優しく呼んだ。
そして……。
「好きだ」
肩に手置き、ゆっくり顔を近づけてくる。
キス、される。
「ごめんなさい」
キスされるとわかった瞬間、反射的に顔をそむけてしまった。
受け入れなくてはいけなかったのに。
でも、心が悲鳴を上げる。
「ごめんなさい、私……」
「いや、いい。突然ごめん」
卓君は少し悲しげな顔をして、再び歩き出した。
どうしよう……。
このまま付き合っていけば、キスをしたとしてもおかしくない。
でもどうしてもできない。
卓君への気持ちが変化してきたとはいえ、恋ではない。
やっぱり私が好きなのは……結城君、だから。