きみへの想いを、エールにのせて

「俺と付き合ってるのは、俺が水泳部を辞めたら困るからだろ? それが入部の条件だったからだろ?」


卓君はすごく悲しげな顔をする。

たしかに最初はそうだった。
でも今の気持ちは、少し違う。

最初は嫌悪の感情しかなかったけれど、インターハイを目指し、必死に練習に励む卓君を尊敬している。

ただ、どうしても結城君を忘れられない。


「それはどういうことだ!」


突然部室のドアが開き、結城君が入ってきた。
今の会話を、聞かれてしまった?


「香川!」


すごい勢いで卓君のところまでやってきた結城君は、卓君の胸倉をつかんだ。


「結城君、やめて」


慌ててふたりの間に割って入ろうとしたけれど……。


「俺は香川と話してる。黙ってろ」


こんなに怒りに満ちた結城君は初めてだった。


「どういうことって、そのままだ」

「なにっ!?」

「茜は、俺が水泳部に入ることを条件に、体を差し出したんだよ!」
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