きみへの想いを、エールにのせて
「真夜は単なるチームメイトだ。付き合ったことなど、一度もない。いい加減なお前とは違うんだよ!」
付き合って、ないんだ。
真夜さんが自信満々だったから、きっとふたりはそういう関係になっているのだとばかり思っていた。
卓君は一瞬目を見開いたけれど、再び鋭い視線を結城君に向けた。
すると……。
「やめて!」
結城君が再び拳を振りあげる。
私は思わず間に入り卓君に抱きついて阻止しようとした。
「茜、どけ。コイツはこうでもしなけりゃわからないんだ」
「ダメ」
卓君の前に立ち、首を振る。
もう彼を傷つけないで。
卓君のやり方は間違っている。
でもそれは、過去に背負った傷のせい。
こうして結城君を挑発するのは、きっと自分を殴らせるためだ。
自分で自分のしていることが間違っているとわかっているから。