きみへの想いを、エールにのせて

「私は……」


目頭が熱くなるのを感じながら、必死に声を絞り出す。


「卓君のことが好きなの。無理矢理付き合わされているわけじゃない」


どうしてこんな嘘をついたのかわからない。

だけど、卓君を救うには、こうすることしか思いつかなかった。

このままでは彼は、ますます人間不信になってしまう。


――ダン。


結城君は振り上げたこぶしを、ロッカーに叩きつけた。

そして……。
「もう、終わりだ」と言い残して出ていってしまった。


結城君……。


ドアが閉まると、必死に我慢していた涙がポロポロとあふれ出す。


ヘナヘナと座り込み、両手で顔を覆うと、卓君がうしろから私を抱き寄せた。


「茜はバカか」


彼の手に一層力がこもったかと思うと……。


「俺から離れられるチャンスだったのに……」
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